持続可能な開発目標(SDGs)のゴール13にも定められている「Climate Action」
米国の環境擁護団体は、ワシントンの政治において影響力がある。
その中でも、2020年の献金トップクラスは以下の4つだ。
①League of Conservation Voters (1970年設立)
②Sierra Club(1892年設立)会員数:約380万人
③Natural Resources Defense Council(1970年設立)会員数:約300万人
④Environmental Defense Fund(1967年設立)会員数:約250万人
どれも民主党が支持団体で、これらから支持されるかどうかで大統領予備選が大きく変わる。大統領予備選では、それぞれの団体から”Endorsement"をうけることが重要なのだ。どの団体も、誰を支持するか支持表明をしていく(注1)
予備選挙では、こうした団体票をとっていくことが重要になる。
忘れてはいけないが、元NRDC議長のジーナ・マッカーシは気候変動対策のバイデン大統領の大統領補佐官だ。マッカーシー大統領補佐官は、オバマ政権時代に環境保護庁長官を担っていた印象の方が強いが、NRDCの元議長だったということを忘れてはいけない。
さて、米国では100年以上の歴史をもつSierra Clubについて少し話しておきたい。
Sierra Clubは、作家、自然保護論者、国立公園の父とも呼ばれるジョン・ミューア(John Muir)によって創設された。彼は、1838年にスコットランドで誕生し、1860年に家族とともに渡米してウィスコンシン州に移住。1868年にはシエラ・ネバダ山脈に魅了されサンフランシスコに移住する。1890年には、ロビー活動を行い、ヨセミテ国立公園を創立する。その流れで、1892年にシエラ・クラブも創立している。その後、セコイア国立公園、マウント・レーニア国立公園、ペトリファイド・フォレスト国立公園、グランド・キャニオン国立公園の設立にも関わった人物だ。
ニクソン大統領時代に、国家環境政策法、大気汚染防止法、水質汚染防止法など次々に可決してダムが建設しづらくなった。ダムの終焉とともに、環境擁護団体のダム建設反対運動も消滅していったのである。
米EPA(米国環境保護庁)にもはっきり書かれているが、Environmental Justice movementが出てきたのである。そのムーブメントを説明するには、公民権運動の理解が重要だ。
米国では、1955年黒人女性のローザ・パークスがバスの白人用席に座っていて白人に譲るように促されても断ったために逮捕される事件があった。それを機に、モンゴメリーでのバス・ボイコットが起き、公民権運動が勢いづいていった。1963年、キング牧師らによるワシントン大行進(March on Washington for Jobs and Freedom)があり、1964年に公民権法が制定される。1970年代に入ってからは、連邦議会にも黒人議員が増えてくるなど政治力をもちはじめていたのだ。彼らは、声をあげて、主張しはじめるようになったのだ。
1991年10月、ワシントンで「the First National People of Color Environmental Leadership Summit」が3日間開催されたとき、環境正義運動は大きな盛り上がりをみせるようになっていた。サミットには、米国、カナダ、中央アメリカから数百人の環境正義のリーダー達が集まった。サミット名にも記載されているように「People of Color Environmental(有色人種の環境問題)」なのだ。
https://www.nrdcactionfund.org/news/nrdc-action-fund-endorses-biden-for-president/
https://www.lcv.org/article/lcv-action-fund-endorses-joe-biden-president/
https://people.wou.edu/~taylors/g407/doyle_etal_2003.pdf
注4:Environmental Justice Timeline
https://www.epa.gov/environmentaljustice
https://www.nrdc.org/stories/environmental-justice-movement
https://coal.sierraclub.org/the-problem/how-coal-and-gas-damages-your-health
注7:The Fossil Fuel Industry's Legacy of White Supremacy
https://www.sierraclub.org/sierra/fossil-fuel-industrys-legacy-white-supremacy